angel ring
後悔
純はおなかにいた時、何も問題はなく順調に育っていた…

だからなぜこんな事になったのか、正直私はその事実を受け止められずにいた…


純が総合病院に着いた時には体の色が真っ白になっていてもう遅かったらしい…。

「もう少しはやければ助けられたのに…」

総合病院で純を担当した医師が涙を浮かべて残念そうに言ったそうだ…

普通、病院の医師は泣いてはいけないらしいが、純を助けられなかった悔しさからか、その場にいた医師や看護師のほとんどが涙を流したらしい…。



私が生きている純を知っているのはおなかにいた時と生まれてすぐのあの時間だけ…

今思えば

純は生まれた時に泣かなかった。

あの時は泣き声がそれほど重要だとは思わなかったからあまり気にしなかった…

その事を問い質すと医師は、純は泣いたと主張した。

私たちと医師の言い分は食い違っていた…



でも母親の私が「おぎゃー」という声を聞いていないんだもの…

たしかに純は泣いていない…。



思い返せば

純はあの時…

小さな声ではなく苦しい声を出していたんだ…

純は大人しかったんじゃなくぐったりしていたんだ…


何で気付く事ができなかったんだろう…

どうしてもっとちゃんと見てあげれなかったんだろう…

今頃気付いたって遅いのに…



赤ちゃんは無事に生まれて当たり前だと思っていた。

こんな事はテレビの世界の事だと勝手に思い込んでいた。

まさか自分がそうなるなんて…

遠い世界なんかじゃない…

いつも危険が隣り合わせなんだって気付いた。



万が一何かがあった時

その為に病院があるんじゃないの?

子供を産む事ならやろうと思えば一人でだってできる。

でも、その後のケアや、何かあった時の為にプロがいるんじゃないの?

なのに…

なんで手遅れになるまでほっといたの?



純が亡くなった事にも、産院の医師は、驚きを隠せなかったようだ。

しまいには

「原因は何だったんですか?」

と聞く始末…。


普通私達に聞く事ではない…

自分で病院に連絡して聞くのが常識のはず…


怒りが込み上げてきた。

< 30 / 38 >

この作品をシェア

pagetop