angel ring

言い訳

浩司の告白から一ヶ月が過ぎ、あの日から浩司は店に来る事はなかった。

あの日の浩司の告白の事は、誰にも言っていない。

もちろん友美にも…。


「今日、うちら終わる時間に合わせて涼来るって言ってたから優君も来るかもよ？」

友美が嬉しそうに言う。

優君とはメールはしているが、会うのは本当に久しぶりだった。

「いらっしゃいませ〜」

涼君や優君達、いつものみんなが来てくれたが、そこにはやっぱり浩司の姿はなかった。


「玲ちゃん！早く着替えて行こう！」

私と友美は仕事を切り上げ私服に着替えた。



「久しぶり〜」

給料日前で代行を呼べない私は、一人ｼﾞｭｰｽで乾杯。



みんなお酒がまわってきた頃。

「あれ…？そういえば浩司は？」

友美が今更ながらに聞く。

「あぁ〜なんか忙しいとかでしばらく来れないとか言ってた。」

（私のせいだ…。）

一人気まずくなっていると由美ちゃんが口を開いた。

「玲奈ちゃん詳しい事知ってるんじゃないの？」

「えっ？」

「だってさぁ〜、この間浩司と抱き合ってるの私の友達が見たって言ってたよ！付き合ってんじゃないの？」

みんながいっせいに私を見る。

「えぇ〜！？ちょっとどういう事？」

友美まで慌てている。

「付き合ってないよ…。」

「はぁ？じゃぁ何で抱き合ってたの？」

由美ちゃんが責めるような口調で言う。

私は解答に困った。

ここで浩司に告白された事をみんなに言ってしまうのは簡単だ。

そしたら、あんなに真剣に告白してくれた浩司がフラれて来れないと笑われるのが嫌だったから。

「あれは…」

必死に言葉を探すが見つからない。

「付き合ってないのに抱き合ったりするの？玲奈ちゃんってやっぱ軽いんだね？」

由美ちゃんの言葉はまともに突き刺さった。

「ちょっと…！由美ちゃん言い過ぎだよ！玲ちゃんだって何か訳あったんだよ！あの浩司だもん！無理矢理とかさぁ〜」

友美が必死にかばってくれようとしている。

「嫌だったらすぐ離れる事できるじゃん？抵抗もしなかったみたいだし。嫌じゃなかったんじゃない？」

私は何も言い返すことができなかった。