音友~オンガクトモダチ~
ペタペタペタペタ・・・
私の足音がする。
後から思ったら、このときが人生の第一歩だった気がする。
「ここが、6年2組の教室です。では、入りましょうか。」
うはぁぁ!!緊張するぅ・・・
おし!!頑張ってここからの人生の大きなドアを開けよう。
ガラガラガラガラ・・・
(・・・ってあら?先生?私の人生の大きなドアを開けたのは、先生!?)
中はザワザワしていた。
でもこのザワザワ感が私の緊張度をさらに上げてゆく・・・
のわぁぁ!!!緊張度メーターが溢れる!!
「今日は転校生が来ています。どうぞ自己紹介を!」
顔。真っ赤だぁ!
「ぇっえっと・・・金沢優です。趣味は音楽で特技はギターです。よろしくお願いします。」
ちっぽけな拍手。でも、なんか嬉しかった。
・・・あれ!?どっかで見たような、男の子。あれ誰だろ?
「はい、じゃあ一番後ろの窓側の席に座ってください。」
私が座ったのは、見たことのある男の子のとなりの席だった。
なんか緊張するなぁ・・・
「では、学校だよりを渡します。前の人は後ろの席の人にまわしてください。」
「ねぇ・・・」
はぁい!?その声は6年とは思えないくらい低かった。
「あ、なに?」
「君、4番町に引っ越してきた子?」
「あ、うん。そうだけど。」
「俺。君のとなりの家の・・・岩山。」
背が高い。髪の毛も、自然な感じでいい。
顔もかっこいい。6年とは思えない感じだ。
そういえば、となりの家に6年の男の子がいるってママが言ってた。
まさか、同じクラスだなんて・・・
あ。私が昨日お庭でギター弾いているときに見かけた子だ!
「あっ!もしかして、昨日私がギター弾いてるの、見た!?」
「うん。」
は、恥ずかしい・・・
「・・・なんかごめん。」
「い、いいよ。」
「君。ギターうまいんだね。」
「ううん。そんなことないよ・・・」
「・・・」
なんか。息詰まってしまった。
「岩山くんは、音楽に興味ないの?」
「あるよ。俺は・・・」
キーンコーンカーンコーン
鳴っちゃった・・・もう少ししゃべりたかったなぁ
『俺は・・・』なんだったんだろ?
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