王様と庶民~九条家長女のお話~


「何でだよ。目標はでかいほうがいいだろ?」

「んー、君の場合はライバルが自分、だからかな」


よく分かっていない彼の頭をわしゃわしゃ撫でる


「ちょっ、瞳!止めろって」

「かーわいーなぁ、健太君は」

「いっ、意味わかんねーしっ」




「コホン」

「たっ、」

「橘」

「坊っちゃま、そろそろ夕食のお時間です」


いつから橘さんが?!

仕事1日目で早速首?!


「橘、瞳にちょっかい出すなよ」

それだけ言うと、健太君は部屋を出て行った


「…九条様は不思議なお方だ」

「はい?」

「坊っちゃまの笑顔なんてここ何年も見ていないというのに」

「でも健太君、」


私といるときはいつも楽しそうだ


「貴女は大家族の長子だと聞き及んでおります。だから幼い子供の、坊っちゃまの気持ちが理解出来るのかと思っておりました」

「はあ」

「ですが、違いました。貴女だから坊っちゃまの気持ちが理解出来るんですね」

「んー…難しい事はよくわからないですけど、健太君は健太君ですよ」

「ええ。左様でございます」

「それじゃ、私帰ります。…あ、健太君にプリント渡しておいてもらってもいいですか?次までの宿題です。制限時間は守って下さいね」



何となく、何となくだけど
橘さんに

認めてもらえた

のかな?



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