王様と庶民~九条家長女のお話~


「――以上で、第〇△回華園学園高等部入学式を閉会致します」

よし、終わった!!

腕をぐぐっ と空に伸ばす

式が終わったことでざわつき始める館内
ここ華園学園は幼稚舎からのエスカレーターだから、皆知り合いなのだろう


「えー、今日はこのまま流れ解散となります。高等部の校舎を見て回ることも可能ですので」

壇上でマイクを手に話を始める先生の声に、私は大きく反応した

ガタンッ

立ち上がった拍子に椅子が倒れたことなんてこの際どーでもいい

そして、会場の視線が全て私に向けられていることも


私の頭のなかには、早く家に帰ることしかないのだから

鞄を掴んで体育館を後にした








「…今のは?」

「ああ、今年入学の特待生です。特待生をとるなんて何年ぶりでしょうかね」

「特待生、ねぇ」


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