王様と庶民~九条家長女のお話~



“お前の家に行ってもいいか?”
そう言葉に出たのは無意識だった




貧乏なのに、


いつも楽しそうで、幸せそうで、


俺には無いものばかり持ってる瞳


…だから惹かれたのかもな

だから羨ましいのかもな



そんな瞳が育った温かい場所に、

無償に行きたくなった。。。













「…いいんですか?!本当にいいんですか?!」

「くどいぞ」

「……家には連絡したんですよね?」

「…ああ」


その日に瞳の家に行くことになった

家には、知らせていない



生徒会で遅くなる

家にはそう連絡を入れた


今は裏口から歩いて瞳の家に向かっている



……学校と家以外で外を歩くのは久しぶりだ



通過する軽自動車に自転車、

帰宅中の学生


時折民家からの話し声……


ああ、ここは何て温かい場所なんだろう



.
< 54 / 56 >

この作品をシェア

pagetop