フユザクラ
第一章――サクラとヒイラギ

『あの変態』



――午前7時45分――


「内川が、体育館で待ってるって」


それは、突然の事だった。


「だっはーーーーっ!?」
「ごぶっ」

いや、大げさなんかじゃなく
本当に突然でした。

どれくらい突然だったのかを説明するとしたら

私が女子高校生とは思えないくらいの奇声を上げて、
思わず目の前にいた友人に
スクールバックで殴りかかってしまう程に。
・・・とでも言っておこう。


いや、というか事実です。


 とにかく突然、
・・・私の友達は、最悪の一言を告げてきました。

「い・・・いてて・・・
 ちょ、殴ることは無いと思うよ!?」
「その事を私に伝えてきた柑奈も同罪!!」
「酷い!?」
 
 抗議の声を上げる私の友人に、
私は声を荒げて怒鳴り返した。


友人――音原 柑奈――
   オトハラ カンナ


黒いショートヘアと
本当に高校二年生かと疑いがかかるほどの小柄な体が特徴的な、私の友人である。
小さな顔に大きな目には長いまつげがのっかった、
天然美少女といっても過言ではない。
ぶっちゃけ私が今すぐ撫で回したいほど可愛いので、
まぁ言うまでも無くモテる。

ロリコンとかに。






・・・・・・まぁそんなことは放って置こう。

とにかく、私が奇声を上げた原因は
この夏に咲く花の名を持つ友人が、まさかの禁句ワードを吐いたからであった。





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