ありえない高校生マリッジ
「ここ」

学園長室は職員室の隣だった。

緊張してガチガチな私の代わりに、諏訪部先輩が天井まで続くブラウンのドアをノックした。

「氷室那岐紗です」

「入れっ」

「失礼します・・・」

「頑張ってね・・・那岐ちゃん。俺は外で待ってる・・・」
諏訪部先輩はそのまま佇み、私は彼を尻目に中に入った。

「彼女が氷室那岐紗です。
伊集院頭取」

学園長が私をソファに腰を下ろす50代ぐらいの男性に紹介した。

眉間に深いシワ寄せて、その男性は私を見た。

黒い瞳は何処までも冷たい光に帯びて、彼の視線からは嫌悪感しか汲み取れなかった。

「氷室さん、ここに座って」

「はい」

学園長は男性の前に座るように促した。


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