麻川くんより、バカでした。
第4章

兄ちゃん


俺の兄ちゃんの名前は
麻川 春斗(ハルト)
癒恋は春斗兄、俺は兄ちゃんと呼んでいた。

俺は兄ちゃんを“消えた“と思うことにした。

俺が中1のとき、兄ちゃんは高1だった。
特別頭が良いわけでもなく、特別運動ができたわけでもない。
でも、顔立ちがすごく良かった。
中身はごく普通の男の子だった。
だけど、それだけじゃダメという親の不満が高まった。
『勉強しなさい』『落ちこぼれの高校』
兄ちゃんが変わったのは高校生になってからだった。

中学生までの兄ちゃんは、優しくておもしろくて頼りになる兄だった。
高校生になって、赤点をとるようになって
親が文句をいうようになった。
そして、兄ちゃんは親に嫌われた。
兄ちゃんが反抗すれば親は殴る。
親が兄ちゃんを殴れば、兄ちゃんは親を蹴り飛ばす。
そんな喧嘩が毎日のように続いた。
親だけだったらまだよかったけど
それは親だけじゃない。俺らにまで暴力をふるうようになった。

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