あたし

「ゆかぁ、こっち」
声をしたほうを振り向くとお母さんがぶんぶん
手を振っていた

「どうだった」

お母さんは昔から
テストの後にどうだったかを聞く

「うん。いいかんじだよ」
あたしは微笑んで見せた

「由香は大丈夫だと
お母さん思ってたわ」
そういって安心したようなお母さんを見て
安心するあたし

いつだってそうだ
あたしを安心させるのは
あたしではなく
あたしの周りの人だった

あたしは周りの人の反応を基に生きてきた

あたしの気持ちなんて
考えたことすらなかった
< 9 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop