あたし
「ゆかぁ、こっち」
声をしたほうを振り向くとお母さんがぶんぶん
手を振っていた
「どうだった」
お母さんは昔から
テストの後にどうだったかを聞く
「うん。いいかんじだよ」
あたしは微笑んで見せた
「由香は大丈夫だと
お母さん思ってたわ」
そういって安心したようなお母さんを見て
安心するあたし
いつだってそうだ
あたしを安心させるのは
あたしではなく
あたしの周りの人だった
あたしは周りの人の反応を基に生きてきた
あたしの気持ちなんて
考えたことすらなかった