秘密のMelo♪y⑤*NY編*
ギャースカ言うおじさんと、どこまでも冷たいまおちゃん。
一見いつも通りだけど、彼女の対応だけが少しばかり違った。
「まおパパもうええやん。そろそろ言ってぇな」
「お、おお…。だからお前の愛犬達と共に来るそうだよと」
「琥珀達?」
ようやく出た一言に、ここ最近では初めてと言っていいほどに目を輝かせる彼女。
ようやく、やっぱり生きている、と思えた気分だった。
これまで死んだような目をしてて。
自分が今目の前にしてるのは、本当にあのまおちゃんなんだろうかと。
本当は…彼女も楓と一緒に行ってしまってて、これは幻覚かなんかなんじゃないかと。
そう思ってしまうほどだった。
「いつ頃かは分からんが、本当に近いうちだ。さかもっちゃんの正確さは知ってるだろ?」
「…会いたいな、早く」
「私の話、もはや無視!?」
「よかったわねまお」
『梨音達? 久しぶりね!』
嬉しそうなのはメイリーも花梨も一緒で。
少しだけ、病室内の空気が和んだ気がした。
それから三十分ほど経った後。
お見舞いに来ていた僕らは全員それぞれホテルへと帰った。
まおちゃんはずいぶん具合がいいようだから、琥珀や梨音達が到着する頃には退院できているかもしれないそう。
あとは、通院しながら記憶を戻していくそうだ。
だって、それ次第ですべての局面は変わるのだから。
いい方向に向かうか、それともさらに…。
…いや。
今以上に悪い状況なんて、きっとないだろう…。