鏡の向こう


「じゃぁー…、
矢津田の席は高橋の隣。」


私は担任の言葉に我に返った。

私の隣だ…。


「はじめまして。」


記憶が無くても、
拓海には変わりない。


『はじめまして。』


だったら、


また1から出逢えばいいじゃない。


だって、拓海は言ってくれたもん。


“俺、また逢える気がするんだ。
また、すぐに。”


“その時は、また紗香に恋させて。”


って。





だからね、


『はじめまして。
高橋紗香です。』


私もまた、

新しい貴方に恋をする。




―End―


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