桃染蝶
「イチヤ
 いいかげんに・・・」

父が口篭ったのは、一夜の
瞳がキラリと輝いたから。

溜め涙・・・

唇の端をギュッと噛み締め
泣くまいとこらえて瞳に
たまった涙が今、一粒の涙
となり、頬を伝う。

「死ん、でんじゃねえぞ」

俺はただ、親父を家族の一員と
して認めてさえくれればそれで
よかった。

親父を蔑む貴方を

許せなかっただけ・・・


『イチ、寒くないか?』
< 46 / 386 >

この作品をシェア

pagetop