藤井先輩と私。
「いいんですか?杏奈ちゃんおいてきて」

「ええの。あいつおったら陽依とゆっくり話もでけへんしな」


「杏奈ちゃんて可愛いですね」


「生意気なガキやで?どこが可愛いねん。可愛いゆうたら陽…」


「ひ?」


先輩はそれ以上何も言わずに、ただうつむいた。

「なんでもない」

そして小さな声でこうつぶやくと、先輩は、はぁ~っとため息を吐く。


「先輩どうしたんですか?気分でも悪いんですか?」

「ちゃうちゃう!元気ピンピンや俺は!」

「そうですか。良かった!」


それから、先輩と並んで歩き、他愛もない話をしていると、いつのまにか駅についていた。


「今日はありがとうございました!じゃあ、私はこれで」


改札口のところで、藤井先輩に一礼する。

「気をつけてな!」


そして私は2番ホームに急いだ。

 

< 172 / 361 >

この作品をシェア

pagetop