CL

ビックリして額を抑え、瞬きを繰り返すわたしを、アキちゃんはいたずらっ子のような笑みを浮かべて見つめた。

「だいじょぶ、だいじょぶっ。わたしがちゃんと、責任持ってミナミを救うからっ」

どこか抜けてるヒーロー染みたことを口走るアキちゃんに、わたしはおかしくて“ぷっ”と吹き出す。

「えー、アキちゃん細いもん。ムリだよ」
「ふっふっふっ…こう見えてもわたし、結構力あるんだからね」
「そうなの？」
「こんな大きなキャンバス運んでるんだから、まかせて」

そう言って、アキちゃんは青いキャンバスを指さして腰に手を当てた。
本当に運んでるのかなあ、なんて疑惑が浮かぶけど、自信ありげなアキちゃんを信じることにする。

「……じゃあ、たとえば、世界が今日終わるとして、アキちゃんがわたしを救ってくれて、2人だけ生き残ったら」

“どうする？”
腰に手を当てて胸を張るアキちゃんを、覗き込むようにしてわたしは尋ねる。
アキちゃんは当然と言う風な表情で、答えた。


「――2人で生きていくの」

“アダムとイヴみたいだよね”
笑い交じりにそう紡がれた言葉に、わたしは微笑んだ。
真っ青な世界、2人で生きて行く。
そんな終末も、いいかもしれない、なんて。





━ End ━