風神Ⅱ
「暢気に女なんかつくってるからこうなんだよ。」
黒沼の不気味な笑い声と後ろにいる黒蛇のメンバーの笑い声。
明らかに優勢なのは黒蛇だ。
でもどこか風神のメンバーに焦った雰囲気が感じられない。
風神が負けるなんておそらくみんなの考えにはないんだろう。
「……真城。」
この騒音の中、はっきりと聞こえる声。
周りはこんなにうるさいのにこの声だけはすっと耳に入ってくる。
あたしはゆっくりと顔をあげる。
そして漆黒の瞳と目を合わせる。