風神Ⅱ
「いーんだよ。」
焦る修人にかかる声。
その声の持ち主は馨。
「ウチの総長がいいって言やぁそれでいいんだ。人を見る目だけは誰にも負けねぇからな。」
馨は少しだけ口許を上げ笑う。
他の皆も同感のようだ。
誰も反対の言葉を出さない。
あたしは当然のように笑う皆をどこか遠い目で見ていた。
皆、信じてるんだ。
風雅のことを、仲間として、友として。
疑うことが馬鹿馬鹿しいくらいお互いを信頼しあってるんだ。
その光景はあまりにも眩しすぎて、あたしはそっと視線を反らした。