Give Me Smile―新撰組と氷姫―
秘めたる想い






「まだ千春ちゃんは見つからんのですかっ!?」



なんで!?

もうおらんようになってから5日は経つのに…。



今日も隊士さんと一通りの仕事を片付けて、お礼を言ってから土方さんの部屋へ直行する毎日。


なんや知らんけど、うち1人では不安がめっちゃあるみたいやねん。

うち1人でめっちゃ頑張って、後で千春ちゃんに褒めてもらおーって思っとったのに!


…………まあ、仕事が減るのは嬉しいっちゃ嬉しいんやけど、千春ちゃんと一緒じゃないから全然楽しくないのが不満なだけやねんけど。



って、そんなことより!

部屋で何やら書類を眺めている土方さんに詰め寄る。


毎日通ってねんけど、まあお世辞を言うことが出来ひんくらい汚い。

主に紙の束がめっちゃあるから。



「土方さんっ!」


「あー、うっせぇな!これでも全力で探してんだよ!気が散るから部屋から出ていけ!」


「そんな…っ!別にええやないですか、部屋にいることくらい…。1人でおると気が沈んでまうけど、土方さんの声聴いてると落ち着くんですよ?」


「人の声で勝手に和むなっつーの」



はぁ、とため息を吐く土方さんの隣に勝手に座って、一緒に机の上にある書類を眺める。


いっつもうちに怒鳴って、出ていけって言われるけど、土方さんは無理にうちを追い出したりはせぇへん。


優しい人なんやろうな、って思う。



「いっつも思うんですけど、土方さんの字ってミミズみたいですよね?」


「もうお前黙ってろ!」



うちにいっつも怒るけど。


なんでやろう?

うちなんか失敗してるんかなぁ?







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