365日+1日、飾らない言葉をさがして。< 短編集 >
16、キラキラの中で…。
1995年。
私は父親の転勤で東京へ引っ越しをした。
私は、あの震災を東京で知った。

でも私は幼すぎた。
少しずつ薄れていく記憶の中
一通の手紙が届いた。


多可俊希 ( たか しゅんき )さん…?
神戸市?


< 稲美幸姫 ( いなみ さき )ちゃんへ。
もうすぐ18歳だね。
久しぶりに幸姫ちゃんと、ルミナリエを一緒に見たいんだ。
遊びに来ませんか? >


それは神戸市の小学校に一年だけ通った時の
同じクラスだった男子の俊希くんからの手紙。


あの手紙から
もう五年になるのかな?


私は今年も三ノ宮駅に来ていた。
あの手紙から
毎年同じ日、
同じ時間、
同じ場所に待ち合わせをしていた。

一泊二日。
私は恋人のようにデートを楽しんでいた。

私は
あの手紙で会った時から
俊希くんが大好きなんだけど…
俊希くんは私のこと、
どう思っているのかな?
って、もし聞いてしまったら…

私の望んでいない答えがきたら、
来年この時間は?

ないのかもしれないと…
こわくて…

でも、
今年は
ちゃんと聞いてみることにした。

けど…。
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