渋谷33番
「何か母さんに最後に言うことがあれば今言え」
父親が靴を履きながら言った。

「和美・・・」
すがるような目で和美を見つめる。


___顔をくしゃくしゃにして・・・


___苦労かけたのかな。苦しめたのかな。



 頭ではそう思っているが、口から出たのは違う言葉だった。



「このあんみつ、いらないなら食べていい?」







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