渋谷33番
「そうは言っても、見てた人いないですし・・・」

「ケースから松下の指紋でも出ればなぁ。そのケースって、そのまま渡されたんか?」

「ええと・・・」
思い出すように雪乃は再び空を見上げた。グレーの空から今にも雨が落ちてきそうだ。
「違いますね。紙袋に渡されたんですよ、なんかカラフルなやつ」

「それや!その袋や!それがこの事件の鍵かもしれへんで」
煙草をサンダルでもみ消し、和美は声をあげた。

「へ、どうしてですか?」

「あほか!その袋に松下の指紋がついてたら、そのケースにそいつが関わってた証拠になるやろうが!」
職員がいぶかしげそうに見ているのも気にせず、和美は雪乃に怒鳴るように言った。

「オウ ユキチャン、ソノフクロ モッテルカ?」

「あ・・・はい。持ってます!もらったまま冷蔵庫の上に置いています!」



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