渋谷33番
 働いて働いて、少しの休息をもらって、そしてまた働いて。

 誰かのために必死で働く。

 休みの日には疲れ果てて寝て過ごす。


___そんな毎日に耐えられるのだろうか


 求人誌をめくるが、どれもが無理に思える。大体、面接をしてもらったところで携帯すら持っていない和美には結果を聞くすべもない。

「チクショウ」
ゴミ箱に雑誌を投げ捨てると、和美はしゃがみこんだ。

「チクショウ!」
もう一度。今度は大きな声で叫んだ。

 周りの人がギョッと和美を見たが、にらみをきかせると慌てて立ち去った。

 どれくらいそうしていただろう。

 ふいに、和美は自分を見つめる視線に気がついた。


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