渋谷33番
 警察官がまっすぐ自分の方へやってくるのを見て、和美はなぜか微笑んだ。


 きっと、彼らは不審な和美を怪しむだろう。

 荷物を調べればすぐに和美が持っている覚せい剤に気づくはずだ。


 それでも和美はその場に立って、微笑を浮かべ続けた。


___もういいんだ・・・


 もしここがビルの屋上なら飛び降りていたかもしれない。

 すべてを終わらせたかった。



「ちょっと、君、いいかな?」


 その声を聞いた瞬間、和美は静かに目を閉じた。



















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