渋谷33番
 そこでメールは終わっていた。

 植園は何度もそれを繰り返し読んだ。

 メールはほぼ10分おきに送られてきている。

「刑事さんお願いします。どうか野々香を助けてください!」
そう言うと、井口は声をあげて泣き出した。


「植園さんっ」
吉沢が耳元で緊迫した声を出した。

「分かってる、分かってるわよ・・・」
植園は携帯を折りたたむと、疲れたように眉間に両手をあてて顔をふさいだ。


 泣き声が響き渡る取り調べ室を後にし、古谷に礼をした。
「あの携帯ですが、メール内容を写真にとってもらえますか?」

 ひどくけだるい声の植園に察したのか、素直に古谷は了承した。

 戻りはエレベーターを使った。

 植園は7階につくと、吉沢を見て言った。

「報告書をまとめるのを手伝ってくれる?なんだか疲れちゃった」

 吉沢もまた、声に出さずにうなずくだけだった。



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