渋谷33番
 連れていかれたのは『検査室』とプレートのかかった小部屋だった。

 中に入ると、一緒に先ほどの3人も入ってくる。

「今から身体検査と荷物検査をします。まずは、服をすべて脱いでください」
言葉は丁寧だが、有無をいわさぬ口調で年配職員が告げる。

「全て、ですか?」
答えはなく、無表情な顔でカゴを渡された。ここに入れろってことなのだろう。

 皆が見守るなか、全裸になった雪乃はそのまま身長や体重をはかられ、持病の有無などを尋ねられた。

 机の上に見慣れたバッグが置かれた。中から、シャツやスウェットなどが次々に出される。すべて、雪乃が刑事に言われるがまま家を出るときに用意したものだった。

「腰ひもやフードつきのものは使用できないからこちらで預かっておきます」
なぜ?と聞くひまを与えず、てきぱきと作業はすすんでゆく。

すべての荷物をチェックし終わると、ビニール製のサンダルを渡された。よくホームセンターなどで売っているものだ。



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