渋谷33番
 そんな雪乃を見て日本人女性の方が豪快に笑い声をあげた。
「そんなかしこまらなくってもええで~。うち、岡和美っちゅうねん。よろしくな」

「ワタシ、キャシーデス」
外国人の方もにっこり笑って手を差し出してくる。握手を交わすと体格同様、力強かった。

「ここにはそんなに教えることもないで。トイレだけはドアを静かにしめんと周りから『うるさい』って言われるけどな」

「はい、分かりました」
神妙にうなずく。

「山本雪乃って名前やんな?じゃあ雪ちゃんって呼ぶわ」

「yes、ユキチャン、ネ」

「よろしくお願いします」

 起床時間や就寝時間などを含めて、1日の流れを確認しているとあっという間に時間は過ぎた。ひととおり聞きたいことを尋ね終わった雪乃が頭の中でそれらを繰り返していると、和美が言った。
「そいで、ユキちゃんはなんでパクられたん?」

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