渋谷33番
「そのまま事務所から逃げ出して、タクシーで駅まで行って始発まで隠れとった。ようやく朝が来て、電車で遠くに逃げたんや」

「そうだったんですか~。すごいですね」
大きくため息をついて雪乃は言った。

「これで今夜のお話はおしまい。どうやった?」

「なんかスリルある話でしたね。ドキドキしちゃいました」

「まだまだいろんな話があるからな。じゃ、おやすみ」
そう言うと和美はそのまま目を閉じた。

 蛍光灯のまぶしさがやさしく降り注ぐ。

「おやすみなさい」
雪乃も眠りについた。





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