流れ星を探して
しばらく歩いて蘭は口を開いた。

「そこ、右に曲がったところだよ」

通りから少し細い道に入ってすぐ、レンガ模様のこじんまりとしたそれが、蘭の家だ。

「かわいい家だね」

と、ピーターは見上げながら言った。

「お母さんが建てたの」

「お母さん?」

「うん。私が小さい頃に離婚して、お母さんが一人で頑張って仕事して、私を育てて……」

と、蘭は言った。

ピーターはそっと、蘭の頭をなでた。

「蘭も頑張ったんだね」

ピーターの言葉を聞いて、蘭は胸が熱くなった。

今までこんなふうに、優しく言われたことがなかった。

同情や皮肉や蔑み、母子家庭というだけで、こころない言葉に傷つき、悔しくて悲しい思いを何度もした。

ピーターのように、温かい言葉をかけてくれる人は、あまりいなかった。


< 24 / 52 >

この作品をシェア

pagetop