流れ星を探して
「蘭、蘭!」

ピーターが呼ぶ声に、蘭はハッと我に返った。

「どうした?すごく苦しそうな顔だよ」

と、ピーターが不安げにのぞきこむ。

「ごめん、何でもない」

蘭は無理に笑顔を作った。

「嫌なこと、思い出したの?」

「――どうして?」

「蘭も、お父さんがいないから」

「でも、私は……私はお母さんと2人で良かったと思ってる」

と、蘭はきっぱりと言った。

「――うん」

ピーターはニッコリとうなずいた。

「ぼくも、お父さんとの時間を大切にしないといけないな。きっと寂しがってる」

「うん。そうだよ」

と、蘭はうなずいた。

私たちはどこか、似ているのかもしれない。

同じような悲しみを抱いて、同じような孤独を感じている。

お互いの心の隙間を敏感に感じとって、惹かれ合ったのかもしれない。

蘭はそう思った。



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