龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
車が停まって圭吾さんが降りてきた。


「遅いぞ圭吾」

悟くんが言う。

「お姫様がナンパされてたからボディーガードしてた」


「すまん、ありがとう――志鶴、乗って」


圭吾さんが助手席のドアを開けてくれた。


「悟、お前いつ出発するんだ?」

「あさって。明日まで講習あるから」

「悟くん、どこか行くの?」

「パリまでね。十日間くらいだから、帰って来たらまた遊ぼ」


悟くんの恋人はフランスにいる

会いに行くのかな


「気をつけてね」

「ありがとう。じゃお二人さん、デート楽しんできて」


悟くんは手を振って歩いて行った。


圭吾さんが助手席のドアを閉め運転席に回り込む。


「シートベルト締めた? 悪いけど仕事絡みであと一カ所寄っていい?」

「どうぞ」


車が走り出した。


「お仕事ってどこ?」

「〈鬼の首塚〉」

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