龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
「呼び出して悪い、圭吾」

背の高い方のお巡りさんが言った。


ああ、この人羽竜の血筋だ。

顔立ちがそう。

わたしの方をチラッと見たけど、圭吾さんはわたしを紹介しようとはしない。


「どうも」

羽竜のお巡りさんがわたしに曖昧な挨拶をした。


「こんにちは」

わたしが言ったとたんに『志鶴!』って圭吾さんの険しい声。


はいはい、口きいちゃいけないのね。


圭吾さんが手を差し出して、手をつないだら側に引き寄せられた。


「側にいて。何かおかしいから」


「やっぱり変だと思うか?」

と、お巡りさん。


「引っ張られるような感じだな」

圭吾さんは巨石を見上げながら言った。


「封印の縄の一部がズタズタになってる。で、あっちのマイクロバスの中には意識不明の男女が三人。さっき病院に運んだが、東京のテレビクルーみたいだ」

「意識が戻らないうちに封印はできない。立入禁止にしておけよ」

「立入禁止は簡単だが、意識不明者の女がやっかいなんだよ。霊能者だ。力のほどは不明だが、テレビによく出ている」
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