彼は幕末戦士
「い……ッ!」
頭をうち、視界が一瞬眩んだ。
徐々に視界がもとに戻ってきた私は[何か]を理解することができた。
「痛た……。ん、ここは何処だ?」
顔をしかめて腰をさすっている目の前の[何か]は、男だった。
ボサボサの頭をポニーテールを思わせるかのようにくくりあげていて、服は軍服。
みるからに、おかしな男だ。
「…………ッ!」
けれど一番私が驚いたのは、刀。
この男、刀を差していたのだ。
「そこの子、ここはいったい何処かわかる?」
私に気づいた男は話しかけてきた。
ここは私の部屋だ!と言いたかったが、それどころではない。
私は男の刀にしか目がいかなくて、口をパクパクするばかりだった。
私の視線の先に気づいたのか、男は刀を床に置き、
「危害をくわえるつもりはない。ただ、ここが何処なのか教えてもらいたいな」
と言った。
「…………私の部屋よ」
「………………へぁッ!?」
間抜けな声をあげ、男はみるみるうちに顔を紅潮させる。
そしておどおどしながら、
「無断で女子(おなご)の部屋に入ってしまったなんて…………切腹だぁぁぁッ!!」
服を脱ぎ始めた。