イジワルセンセイとハチミツな恋~どきどき・胸キュンホームルーム~
荒い息をしながら、まり子は直樹先生の方に向かって視線を移す。


直樹先生は、満足そうにまり子を見詰めながら諭す様にこう言った。


「いいかい、まり子。人は何でも体験してみるべきだと思う。それが法に触れない行為である以上、認められた行為だからだ。経験は人の幅を広くして懐を深くする。そして視野を広くして豊かな感情と冷静な判断力をはぐくむんだ。分かったかね?」


まり子は、ぼんやりと霞む意識の中で直樹先生の言葉を聞いた。


「――でも、せ、先生…凄く恥ずかしいですぅ…」


「大丈夫だ、人間は、苦難を乗り越えて大きくなって行く物だからな」


まり子は、何となく納得した様な、しない様な、釈然としない気持ちを抱えて、気持ち良く気を失った。


◆◇◆◇◆◇


放りだされた形になった乃理道は、複雑な気持ちで三人をぐるりと見渡した。
そして南先生と目が会った時、思わず背筋がゾクりとした。


これが大人の女性の眼なのかと。


女性は怖い物だと言う事を、乃理道も学んだのである。
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