KYOSUKE

もちろんそのDVDを見ることはなく、かといって捨てるわけにも行かずにすぐに押入れにしまわれた。


そう言えば俺の誕生日ももうすぐだったな。


ちなみに戒さんはこの週の24日。


すでに俺は戒さんに、同じようにプレゼントを贈ってある。


戒さんが欲しがっていた“三国志”の文庫本を20冊セットで贈った。


戒さんは顔に似合わずああ見えて読書家だ。去年はゲーテの詩集をプレゼントした。


その前は動物占いの本。


あのときは「俺をバカにしとるんか!」なんて怒ってたけど、結構真面目に読んでくれた。


「お前プレゼントのセンスねぇな」なんて言ってたけど、戒さんにだけは言われたくない。


「ねぇ響ちゃん♪」


突如お嬢に呼び止められて俺はびっくりした。


その呼び方で呼ばれるのは慣れてないからくすぐったいのと、妙に気恥ずかしいが入り混じって複雑な気持ちになる。


だけどお嬢に他意はなさそうだ。


「今欲しいものって何?」


前置きもなく急に問われ、俺は面食らった。

< 229 / 257 >

この作品をシェア

pagetop