KYOSUKE


飲めや食えやの宴は深夜まで及び、いつも遅くまで騒ぐことを嫌がるお嬢も今日だけは楽しそうにしていた。


彼女の笑顔を眺めながら、19年間の中で一番楽しい誕生日を迎えることができた。
(実際は誕生日は3日あとなんだけどね)


宴会も終盤にさしかかったとき、お嬢は爽やかなグリーン色の包みを取り出し、俺に手渡してくれた。


「少しだけどみんなから誕生日プレゼント♪」


「え!?俺に??」


「うん♪でもおめぇ欲しいもんないって言うから、選ぶのに苦労したぜ~」とお嬢は恥ずかしそうに笑う。


なるほど。それで納得がいった。


一週間ほど前にお嬢がしつこく「欲しいものがないか?」と聞いていたのを。


「開けても?」と聞くと、


「うん♪見て見て~。気に入ってくれるといいんだけど」とちょっと心配そうに眉を寄せている。


お嬢が選んでくれたものに気に入らないわけない。


どんなものでも大切にするよ。


あ、でも…さすがにAVだけは勘弁…


そんな思いで深いグリーン色のリボンを解くと、中からマグカップが出てきた。


薄い黄色にひよことにわとりの絵が描いてある。にわとりが前を歩いていて、そのあとをトコトコひよこがついてってる感じだ。


「あのね~。このにわとりがあたしで、こっちのひよこがキョウスケ。『あたしについてこい!』って感じ♪そんな気分で選んだんだ」


お嬢はちゃぶだいに頬杖をつきながらにこにこご機嫌に説明をくれる。


俺はマグカップを見つめて、そしてお嬢に視線を向けた。


お嬢……






「どこへでもついていきます」








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