KYOSUKE


思い過ごし…


あの日記は偶然そうなったに違いない。


なのに俺の考えとは反対に、お嬢のことを自然と目で追ってしまう。


そんなわけだから数週間一緒に過ごしてきて、彼女の小さなことまで知ることができた。


料理、洗濯、掃除などの家事全般は得意だけど、勉強は苦手とか。


少女マンガが好きらしく、しょっちゅう居間で寝転びながら読んでいるとか。


この前まで韓流ドラマにはまっていて、居間に居合わせた俺は無理やり付き合わされた。


口や態度は男らしいのに、意外に少女趣味とか。


ピンクやリボン…レースやひらひら…あと、ぬいぐるみが好きで毎日日替わりで彼女のコレクションたちが日干しにされている。


意外にまめなんだよなぁ。




あと、お嬢の使っている香水は龍崎会長プレゼントのチェリーブロッサムだとか。



この香水は俺も好き。


爽やかなのに、どこか甘くて。


ふんわりしたお嬢(見た目だけね)にはぴったりだ。


彼女が動くたびにかすかに香ってくるこの香りは、俺の鼻腔をいつも心地よく―――くすぐる。





彼女が笑うと俺も何故か幸せになり、悲しそうにしていると理由を知りたくなる。






と、まぁこんなところだが。


これを“好き”と言うのだろうか。




好きだったら大問題だ。




いや、問題にはならないか。



彼女は最初から戒さんの―――





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