近くて遠い距離
ーーガチャンーー

ドアが開いた方へ教室の生徒全員の視線が集まった。


『さしずめ蛇に睨まれた蛙状態ね…ハァ』


顔を下に落として恥ずかしがっている時、前の方で教卓を叩いた音がした。


『おい…お前らこっち向け!で、キミが桜井…桜井 海里さん?』


『はい…そうです』

『じゃ、あそこの席座って。』


先生が指を指した席に静かに着席した。隣が女の子だったのが海里にとって救いだった。


『えーと…よろしく!』


『よろしく!桜井さん!』


小声で隣の席の子と挨拶を交わした。

『ねぇ私の左側の席の人来てないけど…休みなの?』


『先生は、そんなこと言ってないけど…桜井さんと同じ遅刻じゃない?』


『余り遅刻って言わないでよ~!!えーと…』


『あぁ私は、関口 千夏よ!普通に千夏って呼び捨てで構わないよ!』


『ありがとう。関…千夏ちゃん!私も海里って呼んで!』


互いに簡単な自己紹介をしたところ、再びドアが開いた。
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