アラサーダサコに恋して

悪あがき

当然といえば当然の結果だった。


帰りの電車の中では会話は殆どなかった。


でもそんなに簡単に諦められるぐらいなら最初から好きになったりしない。


家の近くまで送ると、


「ここでいいよ。じゃあまたね」


と言ってトシ子さんは帰っていった。


俺はその後ろ姿を追いかけ、


「トシ子さん!俺、やっぱムリっす」


と言うや、トシ子さんを抱きしめ、強引にキスをしようとした。


そしたらトシ子さん、俺の唇を少しも避けようともせず、真っ直ぐに俺を見つめてこう言った。


「正輝君。ダメだよ」


あの優しいトシ子さんの強すぎる眼差しに、俺はメデューサに睨まれて石化したように


「あ・・・う・・・ごめん・・・なさい・・・」


と言ったきり動けなくなってしまった。
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