誰についてく?

武志3−1


「んー。何着ようかな」

武志は洋服ダンスの戸を開けて、引き出しは全部出して、腕組みをしながら、持っているありったけの服をジーっと見ながら考えていた。

とりあえず、一枚ずつ手に取ってみる。

「これはちょっとハデだよな」

真っ赤なシャツで背中に龍の絵が描いてあるのをまずパス。

「あ〜、どれにしようかなぁ」

あれを引っ張り、これを引っ張りしているうちに、時間は刻々と過ぎて行った。

「んーっ。こっちの方がいいかなぁ。あー、どうしよ、どうしよっ。あっ!髪も洗わなきゃっ」

武志は服を選ぶのを中断して、風呂場へ髪を洗いに行った。

シャワーで水をかけてシャンプーをバサバサと泡立てて頭を洗った。

「やっぱ、2回だよな」

もう一度、シャカシャカとシャンプー。

ザーッと洗い流すと、母親の高級トリートメントを少々拝借。

「リンスも借りちゃおっと」

リンスまで終えると武志はタオルでガサガサと水気を取りながら、部屋へ戻りドライヤーをかけはじめた。

「あ、ムース、ムース」

ドライヤーを止めて、スーパーハードムースを手にべっとり出して、髪に塗り付けると、また、ドライヤーをかけた。

「あ〜、うまくまとまんないなぁ」

鏡に映っている自分の髪型を見ながらドライヤーをフルに活用して、なんとなく、まとめあげた。

「さぁ、何着ようかな」

またまた武志は悩み始めた。

「ん〜」
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