誰についてく?

和也3−2


「あっ、すみませんっ」

ぶつかって来た男は立ち止まってひょこっと頭を下げた。

「あっ、いいよ、いいよ」

「すみません」

男はもう一度頭を下げると窓の方へ走って行った。

和也は、笑ってその後ろ姿を見ていたが、気を取り直して歩きはじめるときには、

「ばかやろっ。買ったばっかの靴、踏むんじゃねーよ。あー、いってー。帰ってくるなりロクなことねーな」

と、ぶつぶつ言いながら、空港を後にした。



「日本はなんかセコセコしてんなぁ」

と、人混みを歩きながら呟く和也は、クイズ番組にハガキを出して当たった

『アメリカ西海岸の旅・3泊4日』

から帰って来たところだった。

「さて、何処行くかな」

和也はあてもなく歩きはじめる。

「あっ!」

歩いてると遠くに見覚えのある女を見つけた。

和也が歩み寄ろうとすると、和也より先にその女に近寄った男がいた。

それに気づいて和也は足を止めた。

その男は女に一言二言言うと、女の肩に手をかけて二人で歩きだした。

「な、なんだーっ、あの女っ。誰だよっ、あの男はっ!あーっ、女の言うことなんか、信じられないっ」

男と行ってしまった女は、和也の元カノだった。
< 38 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop