やんちゃ姫と腹黒王子



それは大変図々しい奴だ。…もしかしてこれを機に、結婚話はチャラになるんじゃ…!?

そういう思いを抱いた私の胸は、次の一言で凍った。


「いや?今朝、屋敷の前に倒れておったそうだぞ?」


なんと。
今までそんな話を聞いたことがあるが、まさか、ほんとにそんな人がいるとは思いもしなかった。ましてや、王子様だ。

当の王子様は一人黙々と朝食を召し上がっておられるけれど。

「レイ様、昨日はホテルにお泊まりなのではなかったのですか?」

まぁそのホテルも父上様が経営されているからうちの敷地内にあるのだけれど。

「…まいご」


………

まいご?迷える子と書いてまいご?え?

一人で混乱に陥っていると、

「…ごちそうさまでした。」

暢気な声が。

うん。久しぶりにこんなに苛っとしたな。

「爺、リオンを呼び出しておいてください。」

「かしこまりました。」


私のストレス発散法。リオンにお相手を願う。


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