ももいろ

【ジェラシー・1】


小雪たちとの待ち合わせ場所に向かいながら、あたしはおなかに違和感を覚えた。

なんか…いやなかんじがする。

飲みすぎたから胃がもたれてるのかな…

他に心当たりないし。



でも…



何か違う。



前にもこんな感じ、あったような。

いつだっけ

なんだっけ…



「桃花ぁ」

小雪がコウジさんと手を振っている。

「あ、お待たせ」

今日は、新しくできたイタ飯屋さんに行くらしい。

小雪たちは何度か行ったようだが、あたしは場所がわからない。

「小洒落てるし、おいしいんだけど、場所が場所だから最初はエエッて思ったんだよねコウジ」

「そうそう。ちょっと、入りづらかったな。ていうかあのへん歩かないよなあんまり」

歩きながら二人はクスクス笑っている。

「えー?なに?なに??」

小雪はあたしをチラっと見た。

「周り、ラブホばっかりなのよ」



ラブホテルに挟まれたそのお店は、なかなか凝った内装でお料理もすごくおいしい。

ただ、ラブホテル恥ずかしい、て年でもないけど、女同士や一人で気軽に歩ける場所ではないことは確かだ。

コウジさんはパスタをおいしそうに食べながら、細い目をキラキラさせながら聞いてきた。

「で?どう、普段の司って」

「意外とまめに世話やいてくれるんだけどね、もう、すんごく口うるさいんだよ」

あたしは昨日のことや、普段の司くんの様子を、口真似を交えながら説明した。

コウジさんと小雪は目を丸くしたり、おなかを抱えて笑ったりしている。

「あっはははは!司クン、可愛いじゃん!」

「可愛いばっかじゃないよ。すーぐ、ちょっとサツキさぁん!なんて文句言ってくるんだから、ウルサイったらないよ」

小雪は冷やかすような目であたしを見た。

「なによ、嬉しそうに…ね、コウジ」

「そうだね。こんなによく笑って喋る桃花ちゃん、初めて見る」

コウジさんと小雪は、うなずきあってからあたしの顔を見た。

「…そうかな」

< 113 / 139 >

この作品をシェア

pagetop