ももいろ

【ジェラシー・2】


俺は意を決して玄関を開けた。

「たっだいま!サツキさぁん、聞きたいことあるんだけど!」

…て。

いないじゃん。

なぁんだ…。

俺はリビングのソファに倒れこんだ。

気合い入れて帰って来たのに。



俺、決めた。



わからないから悶々とするんだよ。

たとえば、職人みたいなセックスって何さ!?とか。

どんな気持ちで仕事してんのさ!?とか。



ん。

大きなお世話と思うよ。

聞かれたくないだろうなとも、思う。



でも知っておきたいんだよ。

だって俺、悶々としたくない。

セックスはもうしない。

…当分。多分。

だけど、俺だって人間です、健康な成人男子です。

たまるわけ。

今日の調子じゃ、俺エロビデオ見ても凹むかもしんないじゃん?

聞いたところでサツキさんの仕事は変わらないけどさ。

もしかしたら俺もっと凹むかもしんないけどさ。



知りたいんだよ。



サツキさんは何考えてんのか。



俺の勝手で変なこと聞いたら、サツキさん怒るかもなぁとかいろいろ悩んだけど。

むっつりといろいろ想像するより、爽やかに聞いちゃえ!って決心したのに…



いないんだもんなぁ。



あの人、こんな時間にどこ行ってんだろ。

日付、変わるよ?

俺はサツキさんに電話してみようと思ったけど…

「あ」

そうだった。

ケータイ、知らないんだった。

いつも俺が帰ってくるとサツキさんがいるから、連絡先とか気にしたことなかった。

俺にとって当たり前なんだな、サツキさんがいることは。



…まあ、サツキさんちなんだからサツキさんがいるのは当然なんだけどさ、そうじゃなくて。

そこは空気読んでね?



さて…シャワーでも浴びとこっかな。

いや、さっきも浴びたけどなんとなく。

俺は決意が折れないように身を清め(?)気合い入れまくりで待った。

それにしても遅い…

何してんのあの人。

イラついてきたところに、玄関で物音がした。

帰ってきた!

玄関まで走っていき、

「ぎゃあ!」

俺は悲鳴をあげた。


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