ももいろ

【ジェラシー・3】


ふんっ!

意地悪してやった!


俺は鼻息荒く氷を冷凍庫から取り出した。

だいたいしつこいんだよサツキさんはネチネチネチネチと!

大事イコール好きなんて、短絡的!

小学生か!?

結果、



俺はサツキさんのことが好き



と何度も自分で連呼してたことを恥じるがいいさ!

バーカバーカあっははははは!

俺は勝ち誇った気持ちで新しい氷水を洗面器に用意した。

俺に出てけなんてひどいこと言ってさ。

凹むっつーの。

…あれ?意地悪されたの、俺?

いやいや!

くっつけだなんて、アナタが相手なんですけど!

違うって言ってんのにさ。

それにどーすんの?くっついちゃったら出ていかないよ?ぶはははは!

人の話を聞かないからややこしくなんの!

まいったかざまーみろ!

さーて、可愛くない人は反省したかな?

どーせまたわけわかんないこと言ってからんでくるんだろうけどさ。

俺はサツキさんの部屋に向かった。

「入りまーす」

ぎょ。

サツキさんは電池が切れたように、ベッドに座ったまま固まっていた。

「サツキさん…?」

声をかけるとサツキさんは、腫れぼったい目を見開いて、

「あ、わっ!司くん!」

パッと俺から目をそらして、シーツをつまんだり離したりしている。

…あのー。

何、その予想外のリアクション。

「司くん…な、何…?」

辞書に「もじもじしている人」て項目があったら、今のサツキさんの写真載るよねってくらい見事なもじもじっぷり。

「何って…氷」

「ありがと…」

「うん…」

「…」

「…」



やりづらい!

何、この雰囲気!



俺はギクシャクとタオルを濡らしてしぼった。

サツキさんはそれをギクシャクして受け取り、ベタッと顔を覆ってしまった。

…きーまーずーいー!

と思ったけど、なんとなく部屋から出ていけなかった。

「司くん…」

「は、はい」

俺は正座した。

「初めてなの」



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