ももいろ
you're my …

【ヒモ・1】

カーテンから差し込む日差しが眩しくて、あたしは目を覚ましたが、

「ウッ…気持ち悪い…」

また布団に潜った。

ちょっと飲み過ぎたな…

時計に目をやると9時30分。

3時間しか寝てない。

寝不足だし酒抜けてない。

頭痛いし気持ち悪い。

お店休んじゃおうかなあ。

布団の中でもぞもぞしながら、今日来店予定の指名客の事を考えた。

今日予約入ってるのは、13時から鶴田さんだけだっけ…

3人も4人も予約が入っていたら、しんどいからゴメンナサイだけど、珍しく一人か。

鶴田さんなら楽だし、終わったら帰ろう。

「ああ、ホントに気持ち悪い」

飲みに行くなら、休みの前の日にしないといけないな。

でも、そんな計画的に発散できるストレスなら、こんなになるまで飲まないだろう。


何も、感じていないつもりでも

日々、降り積もる耐えられない嫌悪感。


何に?

仕事に?お客さんに?

ううん。

自分に。


あたしはベッドから這い出し、溶けそうになりながらカーテンを閉めて日差しを遮った。

< 2 / 139 >

この作品をシェア

pagetop