ももいろ

【デリバリーホスト・2】



「司の潔癖性はどうにかならないの?」

俺がハタチの頃、真由美という女に言われたことがある。

いや、他にも言われたっけ?


よく覚えてないけど。

「潔癖性?」

俺、そんなたいそうな性質、持ち合わせてない。


はて。


真由美は服を着ながら、

「キス、できないじゃない」

と口を尖らせた。

あぁ…。

俺、キスしたくないんだよね。

気持ち悪いじゃん、ごはん食べるとこだよ?

てゆーか、顔近付けるのが無理。

顔、重要。

だって、目とか鼻とか耳とかあるじゃん。

いろんな情報が入ってくるとこだよ?

そんな大事な顔と顔をくっつけんの、嫌だ。

まぁ、今思えば、女の子達にはものすごく失礼だと思うけどさ。

嫌だったんだよ、だって君たちは知らない人。

抱いて抱いてオーラを出しながら寄ってくるけど、

俺のこと好きなわけじゃないでしょ?

俺もだよ。



君たちは、抱かれたい。

俺は、ヤリたい。



一致してんの、そこだけ。

中には、俺のこと本当に好きで好きでしょーがない、なんて子もいたけど、

俺、そういう子は避けてた。



面倒臭そうだし。



結局そういう子だって、バンドしてる俺しか知らないじゃん。

俺、違うんだよ。

妹によく


「お兄ちゃんうざい!」


て言われたくらい口うるさいよ。

うざくもなるよ、可愛くってしょーがないもん。

「お兄ちゃんみたいな彼氏は嫌だ!」

て言われた時は凹んだなぁ。

まぁ、ちょっと…ガミガミ言いすぎた時もあったからね。



俺はうるさいよ?

ヤキモチ焼きだし。

細かいし。



そういうの知らないで、ただ


TKOの司とヤッた


て事実がほしいだけでしょ?

○○の××とヤッた

になれば、俺じゃなくてもいいわけで。


俺は出せればいいから、別にそんなんはどーでもいい。

だから、キスしないところで、文句言われる筋合いないわけ。

でもさすがに、どストレートに言っちゃうと

「最低!」

なんてことになるから、潔癖性とか言い訳してた。

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