ももいろ
【デリバリーホスト・3】
うー、頭痛い…
目が覚めたら、夕方だった。
すごいダメ人間。
昨日、あたし、何を…
心臓の音と同じリズムで痛む頭が欝陶しくて、こめかみに手を当てた。
ふとドレッサーを見ると、未開封のペットボトルが三本置いてある。
んん?なんであんなところに水が?
…ああ。
あたしはこめかみに当てた手をずらし、今度は頭を抱えた。
あたしはあの後、また湯槽に浸かっていろいろ反省していたら、そのまま寝てしまった。
「…キさぁん!サツキさぁん!」
司くんの声で目を覚ますと、あたしはバスタオルやらタオルケットでぐるぐる巻きにされて、リビングのソファで寝かされていた。
「あっ、起きた!ちょっと!大丈夫なの!?」
「おはよー…」
あたしは目をこすろうとしたけど、蓑虫みたいにされてるから腕が出なかった。
司くんはプリプリしながら水を差し出してきた。
「おはよーじゃないよ、もー!救急車呼ぼうかと思ったよ!」
「ごめん、眠くて…。ていうか、飲めない…。手が…」
あたしはもぞもぞと動いてみせた。
司くんはハッとして、慌ててあたしの動きを制した。
「動かないでサツキさん!タオルが外れる!」
…。
「司くんがここまで運んでくれた?ありがとう」
ちょっと恥ずかしいな。
ううん。
かなり恥ずかしい。
司くんは胸を張って答えた。
「うん。意外と重かったよサツキさん」
重…
一言余計だ。
女としてのプライドが少し傷ついた。
「体拭いてタオル巻いてくれたのも、司くんなんだよねぇ?ありがとう」
ちょっと意地悪したくなって、ニヤニヤしながら言ってみたら、
司くんはサッとあたしから視線を外し、
「そ、そうだけど。そんなにじっくり見てないから!」
とうつむいてしまった。
じっくり見てないって司くん…やっぱりすごく恥ずかしくなってきた。
なんなんだろう、これ。
中学生じゃないんだから…