ももいろ

【デリバリーホスト・3】


うー、頭痛い…


目が覚めたら、夕方だった。


すごいダメ人間。

昨日、あたし、何を…


心臓の音と同じリズムで痛む頭が欝陶しくて、こめかみに手を当てた。

ふとドレッサーを見ると、未開封のペットボトルが三本置いてある。

んん?なんであんなところに水が?



…ああ。



あたしはこめかみに当てた手をずらし、今度は頭を抱えた。



あたしはあの後、また湯槽に浸かっていろいろ反省していたら、そのまま寝てしまった。

「…キさぁん!サツキさぁん!」

司くんの声で目を覚ますと、あたしはバスタオルやらタオルケットでぐるぐる巻きにされて、リビングのソファで寝かされていた。

「あっ、起きた!ちょっと!大丈夫なの!?」

「おはよー…」

あたしは目をこすろうとしたけど、蓑虫みたいにされてるから腕が出なかった。

司くんはプリプリしながら水を差し出してきた。

「おはよーじゃないよ、もー!救急車呼ぼうかと思ったよ!」

「ごめん、眠くて…。ていうか、飲めない…。手が…」

あたしはもぞもぞと動いてみせた。

司くんはハッとして、慌ててあたしの動きを制した。

「動かないでサツキさん!タオルが外れる!」

…。

「司くんがここまで運んでくれた?ありがとう」

ちょっと恥ずかしいな。

ううん。

かなり恥ずかしい。

司くんは胸を張って答えた。

「うん。意外と重かったよサツキさん」

重…

一言余計だ。

女としてのプライドが少し傷ついた。

「体拭いてタオル巻いてくれたのも、司くんなんだよねぇ?ありがとう」

ちょっと意地悪したくなって、ニヤニヤしながら言ってみたら、

司くんはサッとあたしから視線を外し、

「そ、そうだけど。そんなにじっくり見てないから!」

とうつむいてしまった。

じっくり見てないって司くん…やっぱりすごく恥ずかしくなってきた。


なんなんだろう、これ。

中学生じゃないんだから…
< 88 / 139 >

この作品をシェア

pagetop