幸せの残量─世界と君を天秤に─

そんなこと、あり得ません



「………で?」


「………」


診察室に連れて来られたはいいけど、脈だけ測ってすぐに尋問が始まった。


「亜優美ちゃん?何で走ったの」


「……だって…」


「だって?」


だって、……何で?

あれ、何で私逃げたんだろう。


「…亜優美ちゃん?」


「……悲しかったから」


…だと思う。


「悲しかったの?」


「はい……」


巧先生が私の名前を呼んでくれなかったことが、


巧先生が他の女の子の名前を呼んだことが、


…寂しくて、悲しかったんだ。








< 78 / 217 >

この作品をシェア

pagetop