ペイント・イット・ライ

僕にできること

うっすら話の展開が読めてきた。


「それは・・・僕にかなぷーと会うなってことですか」


「いえ、その逆なんです」


その逆?


「これからもあの子を支えてあげてほしいんです。あの子、とても精神的に弱くて。しかも次期エースって周りから言われてることで、他のメンバーからも疎まれて、ずっと自分の殻に閉じこもっていたんです」


「そうだったんですか」


「私にも殆ど心を開いてくれなかったんですけど、銀波さんと会うようになってすごく変わったんです!明るくなったっていうか・・・」


やはりアイドルの世界は大変だ。


「だから、これからも香奈子のこと、どうかよろしくお願いします」


そう言ってセリーヌは俺に深々と頭を下げた。


「わかりました。これからもかなぷーは僕が支えていきます!」


力強く宣言したはいいものの、ニセモノの俺に何ができるのか。


かなぷーと会うなってことかと一瞬勘違いしたときに、


「このままフェイドアウトしたほうが楽かもな」


と正直思ってしまった。


でもこれでますます引き返せなくなってしまった。


ここまできたら、このままいけるところまで嘘を突き通すしかない。


それが今の俺にできる使命なのだ、と。
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