【短編】じゃんけん王

(勝ちパターン)

和紀はなんとか1勝をもぎ取った。
そしてまだ勝負は劣勢のまま続いたが、神様への願いが通じたのか、身体が軽くなり、目が冴え、回りのざわつきが耳まで、届いて来るようになっていた。
しかも、そのざわつきは、全然気にならなかった…


…和紀に、一筋の光が見えてきた!



[→]___
     決定

(相手はの繰り返し)



(負けパターン)

ついに、勝者と敗者が決まった!
和紀は自分の目を疑うように、利き腕の造作を確かめていた!


和紀はすぐには状況を受け入れられなかった。
老紳士はその鋭い感覚で、どちらが勝利したのかを感じ取った!
そして老紳士は右手を出し握手を求めて来たが、和紀はその右手が何の為に前に差し出されたのかがすぐに理解出来ない程、茫然としていた。





やがて和紀も落ち着きを取り戻した。
何とか一勝だけは勝つ事ができたのだが、それが限界のようだった…

何故か悔しさもなく、むしろ清々しい気分だった!


名司会者が老紳士の優勝を讃え、自分の事のように喜びを表現していた!


そして表彰式がすべて終わり、東京ドームの回転扉に押し出された時、夕焼けが長かった一日の終わりを告げていた。



FIN
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